【本記事を読むと・・・】
・空手を7年以上習っている現役女子高生にガチインタビューしているから、一次情報で実情が知れる!
・子供に空手を習わせたいと思っている親御さんは、子供がどのように感じるかを知ることができる!
・普段触れることのない空手の礼儀作法、流派の違いを学べる!
「オレの空手は後退のネジを外してあるんだよ……」
愚地独歩の狂気じみた名言は、今日においても廃れていない。ここまで大袈裟ではないにしろ、武道を修めることはその者に自信と勇気を与える。
今回の【スペシャ・リスト】では、7年間以上空手を習ってきた女子高生にガチインタビューした。習い事としての空手は人生にどう影響を与えるのか。我々の知らない世界がここにある。
(文=仁大ばなし)
“リアル毛利蘭”?まみちゃんの空手経歴
まずは、まみちゃんの空手経歴を軽く教えてください!
空手は12歳からから、一応18歳になった今でも続けているので6, 7年はやっていることになりますね。
ただ、このコロナ禍で直近の1年は練習に行けてないんですけど・・・
なるほど。じゃあ、コロナ禍以前までは、普通に通っていたんですか?
そうですね。1週間に1回は、練習に行ってました。
それを6, 7年続けたのはすごいですね。始めたきっかけは何だったんですか?
お姉ちゃんが先に空手を習っていたんです。
それで「まみもちょっとやってみたら?」って誘われて、実際に行ってみたら面白かったので通いはじめたって感じです。
あくまで自分から空手を習いたいって言ったんですね。
そうですね。別に強制されるようなことは一切ありませんでした。
空手を構成する「基本」「型」「演舞」とは?
空手には「形式スタイル(ぶち当てない)」と「フルコンタクトスタイル(ぶち当てる)」の2種類があると思います。
まみちゃんの通っているとところはどっちだったんですか?
ぶち当てるような、ちゃんとした試合をやることは無かったです。
他のところは実際の組手もやったりすると思うんですが、うちは「基本」を練習して「型」を覚えてその通りに動くというのが、主な内容でした。
なるほど。
「型」を重視しているスタイルなんですね。
そうですね。
いわゆる「演舞」ってやつです。
基本の練習って、蹴りだけをやりますみたいな単純作業的だと思います。
「面倒くさいなあ、苦しいなあ」とは思わなかったですか?
私の場合は週に1回でしたし、一緒の通っている人も友達だったので、全然苦しいとかは感じたことはないですね。
良い環境だったわけですね。
蹴りだけをやるといった「基本」の練習から「型」へと昇華させるプロセスはどのようになっているんですか?
空手では、帯によって級が分けられているんですね。
最初は白帯からスタートするんですが、学ぶのは礼儀作法とかだけなんです。
級を上げるための試験が3回目くらいになってくると「基本」の動きを組み合わせた「型」をやらないといけません。主なプロセスとしては、突く・蹴るといった「基本」に流れをつけて「型」に落とし込んでいく、って感じです。
知らないことだらけです・・・
ある程度のところまで行かないと、礼儀作法しかやらないんですか・・・
1回目の試験は、本当にそれオンリーな感じです。
その礼儀作法って、例えばどのようなことをやるんですか?
まず、座り方っていうのが決まっていて、「左足から座って右足から立つ」という流れを学びます。
また、礼の仕方も道場によってかなり違ってきます。
手のひらを合わせる流派もあれば、片手だけグーにして合わせるところもあります。こういうのが試験に出るって感じですね。
片手グーはなんか見たことあります。あの構え、ザ ・武道ですよね。
組手みたく戦うことはなかったんですか?
二人組で行う演舞としてはやったことがあります。
ただ、自分で考えて動くというのはやっていないですね。
演舞っていうのは、台本で動きが決まっているみたいな感じですか?
そうですね。演技みたいなものです。
空手を習うメリットは?「痴漢撃退」ができる?!
空手を習っていて良かったことは何かありますか?
護身術を教えてもらえたことですかね。
え?!そんな実践的なこともやるんですか?
そういうのも教えてくれる先生なんですよね。
腕を掴まれたら、こう解くんだっていう術も伝授してくれました。
なので、そういう意味では空手を習っていたことで安心をえられたっていうのは大きかったですね。
礼儀だけに限らず、実際こう襲われたらこう対処しようっていうところまで教えてくれるのはありがたいですよね。
痴漢対処法みたいなことまで、教室でやってくれるんですよね。
後ろから抱きつかれたら、こう抜け出すとか、全部教えてくれるんです。
空手とはちょっと違う方向ですけど、護身術っぽい要素も学べるのは、メリットとしては大きいかもしれません。
女の子は特に得るものがありそうですね。
先ほど、礼儀礼節をしっかりやるとおっしゃっていたと思うんですが、それは現実で活かせていたりするんですか?
それはないですね。
ないんだ!?
空手の礼儀礼節は、一般常識の範囲内で「よろしくお願いします」って言うのと同じ扱いなんです。
道場に入る上では必要ですけど、外の世界で活かせるかと言われると、それは違うでしょうね。
なるほど。
やっているのは僕たちが普段する挨拶と変わらないわけですね。
そうですね。
陸上部がトラックに入る時「お願いします」って言うのと同じです。
空手バージョンの特別な挨拶文化があるだけで、必ずしも現実世界に活用できるわけじゃないんですね。
そうですね。
空手教室の月謝って高い?
月謝の部分はどうなっているんですか?
月謝は、一応あります。
一応?!
払わなきゃいけないんですけど、地域団体みたくなりすぎちゃっているのと、先生がすごく優しいので、たまに徴収し忘れていることがあります(笑)
先生がボランティアじゃないですか!
そうなっている時がたまにあるんですよね。
絶対赤字だと思います。
すごいふわふわしてますね。
こっちが申し訳なくなるほどにボランティア精神に溢れている人なんです。
そういう性格が練習にも現れているんですよ。
どういった点にですか?
ちゃんとしたところで空手を習うと、筋トレや体幹トレーニングとかをしっかりして、フルコンタクトの練習をすると思います。
ただ、うちのところは地域団体よりなので、そこまで激しいのはやらないんですよ。
怪我も無かったですか?
一回もないです。
あざの一つもできたことがありません。
安心・安全ですね。
子供に空手を習わせたい親御さんたちに物申す!
そこまで良い環境だと、空手教室に物申したいことなんかありませんよね?
ぜっんぜん無い!最高の場所です。
やっぱり(笑)
懐かしの友達に会いにいく感覚なんですよね。
なるほど。
じゃあ、週1の同窓会があったみたいな感じなんだ。
そうですそうです!
まみちゃんにとって、自分の居場所の一つだったんでしょうね。
そこに居たいと思えるみたいな。
そうですね。
空手教室に行ったら会える人っていうのがいっぱい居ますし、みんな良い人なんです。
無理矢理に習い事をやらされるより、そっちの方が環境として良いですよね。
やる気も出るだろうし。
そう思います。
私は部活とかも続かない口だったんですけど、空手はだいぶ長く続けられてるんですよね。
環境っていうのは非常に重要ですよね。
痛感してます。
空手を子供に習わせたいと思っている親御さんも多いと思うんですが、何か伝えたいことはありますか?
こういう教室を選んだら良いんじゃないか、とか。
私は、子供が通いたいっていう教室だったら、別にどこでも良いと思います。
一つ言いたいのは、子供が嫌だって言っているのに無理にやらせるのは絶対にダメです。空手は武道だから、やり方によっては怪我もするし、嫌になりやすい習い事なんです。
女の子は特にその傾向があると思います。本人がここの教室であの先生に教わりたい!って言っているなら、そこに通わせてあげるっていうのがベストでしょうね。
なるほど。
子供がやりたいって言ってきたらやらせてあげる、っていうスタイルがベースであって、無理に押し付けるものじゃないってことですね。
そうですね。
強制的に通わせても意味ないと思います。
7年も通っていると、流石に説得力がありますね。
本日のインタビューはここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
ありがとうございました!
編集長まとめ:習い事は、精神や技術のみを磨く場所ではない
今回お招きした、まみちゃんへのインタビューの中で特に印象に残っているのは「(空手の習い事は)懐かしの友達に会いに行く感覚なんですよね」という発言だ。
習い事というと、親側も子供側も、「精神力を磨く」「特別なスキルを身につける」という実用的な目的しか見えなくなってしまう。
しかし、本質的には、習い事とは「実用」に偏った場所ではない。
まみちゃんが言うように、習い事は「コミュニティ」なのだ。
そのコミュニティは、学校でもなく、家庭でもない。第三の場所だ。
賢者曰く、「3」は最も安定した数字らしい。
学校での「私」と家庭での「私」で揺らいだとき、自信を見つめ直すことのできる時間と場所は絶対に必要だ。
人生に安定をもたらすためにも、第三のコミュニティとしての習い事という考えは非常に重要だ。
あなたの人生にも「3」の安定が必要かもしれない。
(文=仁大ばなし)
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