歴12年のピアニスト女子高生に聞く!レッスンやコンクールはつらい?ピアノ教室は月謝高すぎ?

【本記事を読むと・・・】

・12年間ピアノを習っていた女子高生にガチインタビューしているから、一次情報が手に入る!
・子供にピアノを習わせようとしている親御さんは、子供がどう感じるかを知るチャンス!
・ピアノに触れてこなかった人は、この記事を読めばピアニストの視点が手に入る!

“Flügel”というドイツ語をご存知だろうか。

元は「鳥の翼」を意味するが、現在では「グランドピアノ」を表す言葉とされている。何と美しい表現だろう。そして、確かにピアノは、その表現に見合う甘美な音色を奏でることができる。

今回、私は歴12年の女子高生ピアニスト・みさきちゃんにガチインタビューを敢行した。ピアノ教室の辛い日々、記憶も無いうちから教室に通わせた親への思い…数々の苦悩が明らかになる。

(文=仁大ばなし)

ピアノは3才の頃から?!泣きまくった過去

“Sadness”, photo by Hiromu Tanakai©
仁大ばなし
仁大ばなし

今回の「スペシャ・リスト」では、12年間ピアノを習っていた女子高生ピアニストのみさきちゃんをお招きしています。

本日は宜しくお願いします。

みさき
みさき

宜しくお願いします!

仁大ばなし
仁大ばなし

早速ですが、自身のピアニストとしての経歴を軽く教えてください。

みさき
みさき

習い始めたのは、記憶も無い幼稚園の年中くらいからです。

そこから中学三年生の時まで習い続けてました。

仁大ばなし
仁大ばなし

ということは、かれこれ10年以上はピアノを習っていたというわけですね。

みさき
みさき

そうなりますね。

仁大ばなし
仁大ばなし

習い始めたきっかけというのは、当然親にやらされたから、ですよね?

みさき
みさき

はい。始まりはまさにそれでしたね。

自分で選んだのではなくて、物心ついた時に気付いたら「私ピアノやってるじゃん?!」みたいになってました(笑)

仁大ばなし
仁大ばなし

すごいですね・・・。ピアノ教室に通っていたんですか?

みさき
みさき

幼稚園時代はヤマハに通ってました。

それ以降は他の教室に変えたんですけどね。

仁大ばなし
仁大ばなし

なるほど。僕はピアノを習っていたことはないので分からないんですが、ピアノ教室にはすごく厳しい印象があるんですよね。

そのあたりは実際のところ、どうなんですか?

みさき
みさき

めちゃくちゃ厳しかったですね。

特に発表会が嫌すぎて、そのための練習の時には泣きまくってました。

仁大ばなし
仁大ばなし

やっぱり厳しんですね。

中学の時にもピアノが嫌で泣いたりっていうことはあったんですか?

みさき
みさき

中学の時は普通に楽しくやれてました。

なんなら気分転換みたく趣味的にできてましたね。一番ピアノが嫌だったのは小学校3, 4年生の時でした。

仁大ばなし
仁大ばなし

もう嫌で嫌でピアノなんか弾きたくない!みたいな?

みさき
みさき

そんな感じです。

うまく弾けないのが本当に悔しかったんです。

私はすごく負けず嫌いなので、出来なかった自分にめちゃくちゃムカついてました。

それで先生に怒られて、泣いて、の繰り返しでしたね。当時は、なんでこんなことやってんだ、とか思ってました。

仁大ばなし
仁大ばなし

やっぱり習い事の中でも、ピアノは厳しさにおいて、頭ひとつ抜けている感がありますね。

泣きまくるほど嫌だったのに、ピアノをやめなかった理由は何なんですか?

みさき
みさき

卒業式とか合唱コンクールとか、学校の行事でピアノを弾く機会って多いじゃないですか。

そういうのを任されることは多かったんですけど、それはすごく楽しんでやれていたんですよね。なので、そのためにピアノを続けていたっていうのはあります。

仁大ばなし
仁大ばなし

学校での大舞台で演奏するっていうのは好きだったんですね。

みさき
みさき

それは大好きでしたね。自分から、やります!って手挙げてましたもん(笑)

仁大ばなし
仁大ばなし

すごいやる気ですね。それでも発表会で演奏するのは嫌だったんですね?

みさき
みさき

発表会の曲ってやっぱり難しいんですよ。

それに比べて、学校でやらされるような伴奏はかなり楽なので、そういうのは全然弾きますっていうスタンスでした。

ピアノを習ったメリット・デメリットと好きな演奏曲

“Good and Evil”, photo by Hiromu Tanakai©
仁大ばなし
仁大ばなし

ピアノが弾けたことによるメリットは、学校のイベントで演奏できることの他に何かありますか?

みさき
みさき

う〜ん、手が広く開けるようになることですかね。

指と指の間がすごく広がるんですよ。1オクターブ以上開くようになっているので。

仁大ばなし
仁大ばなし

(実際に比べてみて・・・) 

うわ!手の開きが僕のとは全然違いますね。こういうのは練習しているうちに開いていくものなんですか?

みさき
みさき

多分そうだと思います。

気がついたら、親指から小指まで22cmくらいになってました。小さい頃は皮膚も柔らかいので、その時からピアノをやっているからここまで開くっていうのもあるかもしれません。

仁大ばなし
仁大ばなし

なるほど。

では第二のメリットは手が広く開けるから、指が綺麗に見えることですね。逆にピアノを習っていたことのデメリットはありましたか?

みさき
みさき

う〜ん。特にないですね。

仁大ばなし
仁大ばなし

基本的にピアノが弾けることは良いことだらけだったわけですね。

みさき
みさき

そうですね。

ピアノを弾くことって頭の体操にもなるんですよ。右手と左手でリズムが全然違う曲とかもあったりするので。

例えば、右は四拍子だけど、左は三拍子みたいな。そういう頭の体操っていう面でも、ピアノを弾いていたことはメリットが大きかったですね。

仁大ばなし
仁大ばなし

僕は絶対それ出来ないです・・・。演奏する曲はどういうのが好きなんですか?

みさき
みさき

早くて強い感じの曲が好きです。

静かで滑らかっていうタイプはあまり好みじゃないんですよ。

一番好きなのは『幻想即興曲』です。この曲は最後の発表会の時にも演奏しました。

※注釈※

『幻想即興曲』とは、ショパンによるピアノ曲である。曲調が思い出せない方はこちらから。

仁大ばなし
仁大ばなし

そうなんですね。

僕が気になったのは、みさきちゃんは好きな歌手がテイラー・スウィフトだとおっしゃっていたじゃないですか。

そういったポップ寄りな音楽が好きなのはピアノを習っていたことと何か関係はあったりしますか? 

普段はピアノ教室で荘厳な曲を聴きまくっているから、日常ではポップな曲聴きたくなる、とか。

みさき
みさき

それは全く関係ないですね。

たまたまお店に流れていた曲がめっちゃ良くて、調べてみたらテイラー・スウィフトの曲だったんですよ。気付いたら、ハマってました。

仁大ばなし
仁大ばなし

あ、そこは関係ないんですね。

みさき
みさき

すいません。ご期待に添えなくて(笑)

仁大ばなし
仁大ばなし

別に大丈夫ですよ(笑)

ピアノ教室と子供にピアノを習わせたい親たちへ物申す!

“Assertion”, photo by Hiromu Tanakai©
仁大ばなし
仁大ばなし

ピアノ教室に物申したいことはありますか?

みさき
みさき

月謝が高すぎます!

なんか親に申し訳なく思ってしまうんですよね。こんな払ってもらっているのに、上手になれなくてごめんなさいみたいな。

どっちかと言うと、ピアノ教室にお金使わなくていいから、もっと他のことに有効活用してほしい!とはずっと思ってましたね。

でも、親にはそんなことは気にしなくていいから、続けなさいって言われました。

仁大ばなし
仁大ばなし

記憶のない幼稚園の時から通わせるくらいだから、親御さんはそう言うだろうね。

みさき
みさき

ですよね。

仁大ばなし
仁大ばなし

少子化で子供が減っていくと、必然的にピアノを習う子供も当然減ると思います。

それを回避するために、ピアノ教室は今後現在よりも精力的に、ピアノを習う子供を増やす努力をしていかねばならないでしょう。

そうした上で、どうしたらピアノを習いたいと思う子供を増やせると思いますか?

みさき
みさき

それこそ今流行っている『鬼滅の刃』の主題歌とかをピアノで弾いている姿を見せたりするのは効果があると思います。

ポップで有名な曲も弾けるようになるよ!っていうのを教えてあげれば、多くの子供が「かっこいいな、やりたいな」って思ってくれるんじゃないでしょうか。

仁大ばなし
仁大ばなし

なるほど。

堅い側面だけじゃないんだよってとこを強調していくわけですね。

みさき
みさき

あとは、そういう流行りの曲を簡単な風にアレンジしてあげるとかですかね。

右手だけでメロディーが弾けるけど、それなりにカッコよく仕上がるみたいな。

仁大ばなし
仁大ばなし

確かにピアノは難しいと言う固定観念がありますからね。簡単にも演奏できるんだよって教えるのは大切かもしれません。

みさき
みさき

ですね。

仁大ばなし
仁大ばなし

最後に、これから子供にピアノを習わせたいと思っている、あるいは現にやらせている親たちにメッセージをお願いします。

みさき
みさき

誰でも私みたいになると思います。

泣くぐらいピアノが嫌になる時期が多くの子にあるはずです。もちろん好きな子はずっとやり続けるとは思うんですが。

一つ言いたいのは、無理矢理にでもピアノを続けさせられてきたことは、今となっては良かったなと思えるようになりました。

なので、ちょっと反抗されたとしても、辛抱強く続けさせてみたら。あとで「ありがとう」と言ってくれるかもしれません。頑張ってください。

仁大ばなし
仁大ばなし

温かいメッセージですね。本日はありがとうございました。

みさき
みさき

ありがとうございました!

編集長まとめ:人生は『悲愴』か、それとも『春』か

今回の「スペシャ・リスト」では、ピアノ歴9年のみさきちゃんをお招きした。

彼女は、過去には、ピアノのせいで泣きじゃくり、現在では、ピアノを習わせてくれた親に感謝している。

文字通り、ジェットコースターのような人生だ。

彼女の話を聞いて思ったのは、人生は見方を変えれば『悲愴』にも『』にもなりうるということだ。

この二つの曲は、どちらもベートーベンにより製作された。同一人物の著作とは思えぬほどに、曲調には大きな差異がある。

人は「辛い」と感じてしまった瞬間、視野が狭くなり、人生という楽曲を『悲愴』としか聴けなくなる。

しかし、喉元過ぎれば、あれは『』だったと楽天的になれる。

今の人生がどうしようもなく辛いと感じている者が、本記事の読者にもいるかもしれない。

しかし、安心していい。

常に盛り上がり所の楽曲などは存在しない。人生もそうだ。

いつか来たる『』を信じて、あなたの甘美な演奏を続けてほしい。

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※本記事では、田中井大歩氏が撮影した写真を許諾を得て使用しています。

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