【本記事を読むと・・・】
・日本が悩まされている「空き家問題」への斬新な対策を7つ知ることができる!
・対談形式だからアイデアの詳細が簡単に理解できる!
・クリエイティブな思考法のエッセンスが学べる!
持ち主の分からない落とし物を見つけたら、それは交番に届けるべきである。
では、所有者が不明な「家」を見つけたらどうすべきか。
日本社会はこうした「空き家問題」に悩まされ続けている。それを解決すべく、今回の対談では、その惨状を打破しうる7つのクリエイティブな対策を議論していく。
(文=仁大ばなし)
① “引きこもり”の講演会ハウス
一個目はどういったアイデアですか?
一つ目は、空き家を「引きこもりハウス」というサービスに活用しようというアイデアです。
お?!一発目から被り気味です(笑)
マジか!
そのハウスは、地元の引きこもりや人生に疲れた人が対象です。
そして、ただ集まるだけでなく、毎回“ゲストスピーカー”を招きます。
講演会みたいな感じですね。
そうそう!
で、なおかつそのゲストスピーカーと参加者は一つ屋根の下で一日寝食を共にします。
ゲストの条件としては、昔は参加者のように引きこもった過去を持っていることです。
同じ境遇を経験した者だと同士だと打ち解けやすそうですもんね。
僕の一つ目は「ニートに住んでもらう」っていうアイデアでしたから、なんか似てますね。
それはどういった案なんですか?
石井あらたさんが書かれた『山奥ニート』にインスピレーションを受けたアイデアなんです。
その本の中では、限界集落の廃校で、必要最低限の労働のみで暮らすニートたちの実情が描かれています。
おお、すごいですね。
限界集落には元々高齢者しかいなかったんですが、ニートたちが廃校に移り住んだことで、村の存続と都会・重労働からの逃避というのが上手にマッチングしているんです。
こうしたWin-Winの事例があるので、引きこもりやニートの方々に、空き家を提供するというのは一定の効果がありそうです。
② “お母さん家”ってどんなサービス?
Shun君の二個目のアイデアは何ですか?
二個目は「お母さん家」というサービスの拠点に空き家を使用する案です。
これは20~30代の女性を主なターゲット層としています。
具体的にはどういったことをする場なんですか?
色々できます。井戸端会議の拠点にしたりとか。
また、一番重要な点は、このネーミングにあるように一店舗に数人の「お母さん」と呼ばれる存在がいることです。
それはスナックのママみたいな?
そんな感じです。
メインの客層よりは上の年齢層の方がその役割を務めます。
「お母さん」は人生経験の豊富さを活かして、20~30代の女性の相談役になるんです。
なるほど!じゃあ、フランクなお悩み相談所みたいな感じか。
そうだね。
お母さん家で交流が生まれたら、彼女らでエステに行ったりするのもアリかもしれない。
赤ちゃんだったり、自分の子供を連れていくってのも良さげですね。
たとえ、大泣きしてしまっても、お母さん家なら受け入れてくれそうです。
あと、ちゃんとK-POPやジャニーズのグッズ、小動物などを店舗内に設置しておくつもりです。
抜け目ない(笑)
③ 国際交流ハウスにして、地域のグローバル化を
Shunアイデアの三つ目は何でしょう?
三つ目は「国際交流ハウス」っていう案です。
このサービスのターゲットは、まだ海外に行ったことのない10~20代の学生です。「地元でプチ留学」をコンセプトにしたいと考えてます。
作り込んであって良いですね!
この国際交流ハウスは、最大四人のお客さんが三泊までは無料で泊まれるようにしたいと考えてます。
あ、宿泊系なんですね。
そうですそうです。
資金面では、役所の国際交流課などから引っ張ってこれるといいですね。
行政がやるにしても、三泊無料はすごいですね。
ただ条件があって
・四人のうち、少なくとも一人は外国籍あるいはダブル(いわゆる国際児)であること
・毎晩、zoomを使って海外の人と交流をすること
っていうのは守ってもらおうと思っています。
そして、最終日には利用者それぞれが国際交流ハウスで学んだことを三分間ほどプレゼンしてもらいます。
英語教育や国際的な素養を身につけるには良さそうですね。
一つ僕が思ったのは、相席屋みたく海外からの旅行者を完全無料で受け入れるっていう施設にしてしまって、日本人と彼らが交流するってのも面白そうですね。
それ僕も考えてました。
ただ、英語が話せない旅行者だと大変そうですね。
でも、それはそれでアリかもです。
お互いが英語が苦手なら、その滞在期間に一緒に勉強しようみたいになれば、強力なモチベーションになりそうですから。
確かに!気負う必要がないですもんね。面白いアイデアです・・・
④ YouTuber ライブハウスは地方創生の足掛かり
僕のラストアイデアは「YouTuber ライブハウス」です。
おお・・・!らしい発想ですね。
この施設は、地元の音楽家、YouTuber、TikTokerなどで集まって、その空き家がある地域のCMを作成することを目的としています。
一日無料で使ってもらって、アイデアを練ってもらうんです。
テラスハ○ス的な雰囲気ですね。
そんな感じです。
良さそう!
確かに、東海オンエアのようにYouTuberと地域が結びつくことによる地方創生っていうのは昨今ホットですからね。
そうですね。
参画しているクリエイターの強みをそれぞれ活かせると尚良しですね。
動画はYouTuber、BGMは音楽家、喋りは芸人みたいにしたら最高のPRができる気しかしません。
YouTuber ライブハウスが出来たら、Shunも行きたいでしょ?
自分がやりたいと思って、出てきたアイデアだからね(笑)
⑤ 落書きカフェとして芸術の中心地に
僕のアイデアは三つあります。
まず一つ目が「落書きカフェ」です。
面白そう!
空き家でカフェっていうのはありきたりです。
ただ普通にやっても利益が出ないと思うので、「落書きができる」っていう新たな価値を付けてみました。
具体的にはどういうカフェになるんですか?
まず、開業時間を大きく二パートに分けます。
前半は「落書き」の時間です。
大量のペンキや筆を空き家に置いておきます。ターゲット層は子供連れの家族や学生です。雰囲気悪い落書きではなく、和気藹々とした感じを望んでます。
ニュアンスは少し違いますが、英国ウォータールー近くの落書きスポットみたいな感じです。
有名な芸術家が来たりしたら、一気にバズりそうですね。
確かに。
あと、家に落書きしちゃう子供っているじゃないですか。彼らはそういう大胆なことをやってみたいが、実家でやると大目玉な訳ですよね。
この落書きカフェでは、それが可能なんです。どんなに壁を汚しても、何を描いたとしてもいいんです。
ほんわかしますね。カフェの後半はどうするんですか?
後半は「普通のカフェ」です。
ただ、落書きのおかげで不思議かつお洒落な空間になっていると思うので、インスタグラマーとかが来てくれそうな予感がします。
もはやカフェじゃなくて、美術館にしちゃうってのもアリですよね。
確かに。日本のバンクシーは空き家から生まれるかも・・・
⑥ フランチャイズ民泊で地域に「味」を
二つ目は「フランチャイズの民泊」にするっていうアイデアです。
おお、ザ・ビジネスですね。
そうなんです。たとえば、Shunが「Shun民泊」という企業を作ったとします。
まずは、日本のありとあらゆる空き家を購入します。
そして、そこを地元のオーナーに民泊として運営してもらいます。また、このオーナーは、大手コンビニのように非社員が務めます。
なるほどね。
民泊として運営するには、空き家の・リノベーションやデザインが不可欠だと思いますが、そのやり方はオーナーに一任します。
それこそ、先ほどの落書きカフェのようにするのもアリです。
そうすると、オーナーそれぞれの「味」が出てくると思うんです。このスタイルは、リピーターを生むでしょうね。一つとして同じ民泊はないので。
いいねえ。「Shun民泊」作ってみようかな(笑)
そのオーナーは地元で育った方だけ?
そうですねえ。
今の空き家ってそもそも所有者が行方知らずだったりするので、そこらへんの権利関係はお偉いさんに任せましょう。
ただ、オーナーが地元民っていうのがフランチャイズにした主な理由で、本部の社員が急に来てもその地域の魅力が伝わらないと思うんですよね。
確かにそうですね。
東京の人が東北に行きたいってなった場合、泊まるのが現地のホテルだけだと地元の雰囲気を直には感じづらいですからね。
なんだっけ・・・あの「晩飯食べてもいいですか?」みたいな番組・・・?
「突撃!隣の晩ご飯」ですか?(笑)
そうそれ!
そんな感じで日本人同士のホストファミリー的な感じにすると、非常に面白そうです。
確かに文化の体験っていう観点から考えると、興味深いかも。
例えば、農業やっている方がホストだったら、そこに泊まった若者が継ぎたいと感じてくれるかもしれませんし。
良いことだらけですね。
⑦ 中高生のビジネス練習で企業家精神を養う
ラストはですね、いずれ自分の学校を作りたいと言っているShun君に是非取り入れてほしいアイデアなんです。
ハイハイ。どんなのでしょう。
夏休みとかでも良いんですが、数週間ほど空き家を中学生あるいは高校生のグループに貸します。
そして、そこで「好きにビジネスしてみなさい」っていう課題を与えるんです。
おお!めちゃ面白そう!
何か商品を作って空き家を店舗とするでもいいし、それこそ民泊みたくするのもアリだし、自分たちでアイデアを出し合ってその空き家を経営してみる。これは、非常に良い教育になる気がします。
やはり、日本はアメリカなどと比較しても、起業家精神が薄い国なんです。
悲しいことにそうですね。
でも、この教育を経れば、社長業の大変さとお客さんに喜んでもらえる嬉しさを感じれると思います。
是非、自分の学校でやってみたいです。
これって日本には無いアイデアですね。かなりアメリカらしさを感じてます。
この教育の良いところは「当事者意識」が芽生えることですね。
自分に原因を求め、自分に結果を求める。これほど自立に適したものはないでしょうね。
将来起業しなくとも、経営者の視点があるかないかは非常に大きな差異になりますからね。
どうせ空き家の取り壊しに税金を使うくらいなら、それを修繕に回してこのような若者への投資とした方がよっぽど世の中のためです。
まとめ:空き家を交流の「ハブ」に
全アイデア良かったですね。
確かに!
全部に共通しているのは「空き家を交流の拠点にしている」ってことですね。
なので、ただ単に取り壊そうっていうのではなく、人々のコミュニケーションのハブに空き家がなれたらいいですよね。
一周回って日本の文化みたいになるかもしれませんし(笑)
それは面白い未来ですね(笑)
そうなるといいですね、ってことで今回の対談は以上にしたいと思います。ありがとうございました!
ありがとうございました。
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※本記事では、田中井大歩氏が撮影した写真を許諾を得て使用しています。
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